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夏至と梅雨

2023年6月21日
 今日は夏至。1年のうち最も昼の時間が長くなる日だ。いつも梅雨の時期に来るので、大抵は頭上に長くいる太陽を拝むことはできないのだが、雲を通しても午後8時近くまではその明るさが伝わってくる。

 県内の昨日、おとといは晴れ間が広がったが、今日からはまた天気予報に傘のマークが並んでいる。でも、少しでもからりと晴れた日があったおかげで、たまった洗濯物が一挙に干せてよかった。こんな晴れ間を「梅雨晴れ」と言ったりするが、本来は違う意味だ。

 「つゆばれ」は梅雨が終わった後の青天、つまり梅雨明けのこと。ただ日本国語大辞典にはその意味に続けて「梅雨の期間中に一時晴れること」ともあるので間違いではない。テレビの天気予報では「梅雨の中休み」という表現もよく聞く。これは数日続くような晴れ間だ。

 ちなみに「さつき晴れ」という言葉は、5月のさわやかに晴れ渡った空の意味で現在は使われているが元々「さつき」は旧暦の5月のことで「さみだれの晴れ間」。つまり昨日のように梅雨の間に訪れるつかの間の晴れ間をいう。言葉の意味や用法が時代とともに変わっていくこともある一例だろう。

 最も昼が長い夏至だが、最も暑い時期は1カ月ほど遅れてやってくる。体調に気を付けて夏を乗り切ろう。「せいぜい頑張って」というと若い世代は嫌みにとらえがちだが、せいぜい(精々)は「精一杯」が本来の意味。これも意味の変遷に留意したい言葉だ。

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