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雷の神となった道真

2023年6月26日
 数年前、熊本県の阿蘇に行ったときの話。突然、強い雨が降り出して、少し離れたところに止めてあった車へ戻ろうと傘を差して歩いていたら、傘の「中棒」と呼ばれる金属の柱の部分がバシュッと光った。

 何が起きたのか分からなかったが、その直後「ドーン」と大きな音。「雷だっ」。傘を放り投げて一目散に車の中へ。慌てていたせいで、濡れた地面に足をすくわれ転倒。左腕をしたたか打ちつけ、痛みが消えるまで数カ月かかった。なんとも情けない話である。

 930年のきょう、平安京の御所である清涼殿に雷が落ち、藤原清貫ら2人が亡くなった。清貫は菅原道真の大宰府への左遷に関わっていたために、道真のたたりとのうわさが立った。道真は死後に復権を果たし雷神であり学問の神でもある「天神」として祭られている。

 そのことからきょうは「雷記念日」というのだそうだ。気象庁によると、落雷の被害が多いのは7、8月。雷は積乱雲の真下に落ちることが多いが、たとえこの雲が通過して晴れ間が見えても、雷の音が聞こえる場所は落雷の危険性があるので用心したい(荒木健太郎「すごすぎる天気の図鑑」)。

 人に落ちる確率は小さいと侮るなかれ。毎年のように犠牲者は出ている。木の下には決して行かない、建物や車の中に避難し、家の中の水道管など金属管に触れないなど基本的なことを実行しよう。たたりではないだろうから、これで身を守ることができる。

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