心の中のベランジェ
2023年6月30日
ある小さな町の、日曜日の正午前。友人のジャンとカフェテラスにいたベランジェは、広場を走り回る一頭のサイを目にする。それ以来、同僚、隣人らが次々とサイに姿を変えていき、ついに恋人までも…。
不条理演劇を代表する作家、ルーマニアのウジェーヌ・イヨネスコの代表作「犀(さい)」である。物語のラスト。みんながサイになってしまい、一人残されたベランジェは叫ぶ。「僕はみんなに抵抗して、戦うんだ。僕はみんなのところへは行かない、行かないよ!」
劇の中で増殖していくサイは、イヨネスコが祖国で目撃した「台頭するファシズム」だという。この物語は拡大解釈すれば、新型コロナウイルスが猛威を振るっていたときの「自粛の同調圧力」もそうだが、世の中の大きな流れの中での多数派と少数派の関係ともいえる。
ファシズムであれば抵抗も当然だが「好ましいもの」が多数派になっていく中で、それにあらがい続けるのはいかがなものか。スイスのシンクタンク、世界経済フォーラムが先日発表したところによると、各国の男女平等度の順位付けで日本は調査対象の146カ国中、125位。過去最低だった。
「男女間の格差」を解消しようとする世界の大きな流れに「抵抗して戦うんだ」と叫ぶベランジェが、この国に数多くいるとは思いたくないが…。23日に始まった「男女共同参画週間」はきのうで終わったが、これに関しては「週間」でなく「年間」でもいい。
不条理演劇を代表する作家、ルーマニアのウジェーヌ・イヨネスコの代表作「犀(さい)」である。物語のラスト。みんながサイになってしまい、一人残されたベランジェは叫ぶ。「僕はみんなに抵抗して、戦うんだ。僕はみんなのところへは行かない、行かないよ!」
劇の中で増殖していくサイは、イヨネスコが祖国で目撃した「台頭するファシズム」だという。この物語は拡大解釈すれば、新型コロナウイルスが猛威を振るっていたときの「自粛の同調圧力」もそうだが、世の中の大きな流れの中での多数派と少数派の関係ともいえる。
ファシズムであれば抵抗も当然だが「好ましいもの」が多数派になっていく中で、それにあらがい続けるのはいかがなものか。スイスのシンクタンク、世界経済フォーラムが先日発表したところによると、各国の男女平等度の順位付けで日本は調査対象の146カ国中、125位。過去最低だった。
「男女間の格差」を解消しようとする世界の大きな流れに「抵抗して戦うんだ」と叫ぶベランジェが、この国に数多くいるとは思いたくないが…。23日に始まった「男女共同参画週間」はきのうで終わったが、これに関しては「週間」でなく「年間」でもいい。