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人口増も悩みの種

2023年7月9日
 本県を代表する果物の一つマンゴー。意外と知られていないが原産地はインドだ。現在も世界最大の生産国。紀元前から栽培されており仏典にも登場する。甘い果実を、お釈迦様も喜んで食べたのだろうか。

 日本と文化的な結びつきが強いインド。先日はインドのシビ・ジョージ駐日大使が県庁や宮崎大学、弊社などを表敬訪問し「宮崎と連携を強めたい」と交流拡大を希望していた。インドは日本の主要な海外投資先でもあり、本県でも人的交流がさらに進むだろう。

 国連の推計では、インドの人口が今年14億2860万人になり、中国を抜いて世界一になる見通しだ。人口増加は2064年ごろまで続くらしい。労働人口も増え続け、現在は世界5位のインドの国内総生産(GDP)が27年に日本を上回って、3位となる見通しもある。

 急速な人口減少に危機感を深める日本から見ると、うらやましいような話だが、インド国内では失業問題の深刻化や貧困、食料不足、教育・医療サービスの逼迫(ひっぱく)といった人口増加のマイナス面を心配する声が強い。経済大国になっても国民のニーズが満たされなければ、社会不安を招く恐れもある。

 インド経済はIT産業がひっぱったが、製造業は弱い。人口増加に見合う雇用創出を実現できるかが今後の発展のかぎだ。県は40年の本県人口を約87万2千人と予測する。減りすぎては困るが、公共サービスの充実など人口減をプラスに考える発想も必要だ。

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