ホーム くろしお

旧暦の盆、新暦の盆

2023年7月15日
 県内の大型スーパーに行ったら、日用品売り場には盆提灯や回転行灯(あんどん)といった盆関連用品の特設コーナーが。和菓子売り場には「お供え」の掛け紙が張られた菓子箱があった。もうそんな時期になったのか。

 盆―といっても、本県では主に8月だろう。東京をはじめとする関東や北海道の一部などでは7月13日からきょう15日がその日である。もともと旧暦の7月15日が盆だったが、明治に入って太陽暦が採用された際、地域によって新暦、旧暦の盆に分かれたという。

 盆の正式名称は「盂蘭盆(うらぼん)」。サンスクリット語で「倒懸(とうけん)」を意味する「ウランバーナ」が語源らしい。「倒懸」とは聞き慣れない言葉だが「逆さづり」のこと。釈迦の弟子の一人・目連(もくれん)が釈迦の教えに従い地獄で逆さづりにされ苦しむ母親を救ったという逸話に由来する。

 先祖を迎える風習は世界各地にあるが、日本の盆は古代インドの農耕儀礼が中国を経て日本の貴族社会に入り、長い年月の中で現代のスタイルになった。旧暦の7月は「盆月」といい、この月の1日から盆の準備を始める。くだんのスーパーに並んでいた盆用品も、主に8月に向けてのものだろう。

 全国的に多い8月の盆は「月遅れの盆」という。7月、8月のどちらがいいというわけではないが、昭和20年に8月15日が「終戦の日」となったことで盆がこの”鎮魂の8月”にあることはしっくりくる。今年もあとちょうど1カ月で78回目のその日がくる。

このほかの記事

過去の記事(月別)