こだまする教育への提言
2023年7月30日
1951年、東北の小さな村にある中学校の学級文集が大反響を呼んだ。そこの教師・無着成恭(むちゃくせいきょう)さんがまとめた「山びこ学校―山形県山元村中学校生徒の生活記録」だ。学校や職場サークルで広く読まれた。
「東京青年会議所寄贈」と裏表紙にある古い本を宮崎県立図書館の書庫から借りて読んだ。家の貧乏、家業の手伝いのほかスズメの巣の観察、ウサギのわななどを方言を交え、素直な言葉でつづる。学校にはどれくらいお金がかかるか、などの統計調査や詩もある。
無着さんのあとがきには、出版に当たって子どもたちと議論を重ねたことが記されており、教育実践記録でもあったことが分かる。「村の赤っ恥をさらすだけだ」という反対意見も多かったが、本を出すのは「本物の教育がしたいという願いが動機だった」と記している。
民主教育の在り方が模索された時代。本書がきっかけとなり児童生徒の文集を通して世界とつながろうという「生活つづり方運動」はブームとなった。無着さんはその後、僧侶、教育評論家となりTBSラジオ「全国こども電話相談室」の回答者として長年出演。分かりやすく楽しい回答が人気だった。
無着さんが96歳で死去。晩年は国家による教育の管理が強まっていると批判を強め、2008年に宮崎市で講演した際も「一つの正解を求め、減点法で子どもを評価している」と問題点を指摘していた。子供目線の提言は今も山びこのようにこだましている。
「東京青年会議所寄贈」と裏表紙にある古い本を宮崎県立図書館の書庫から借りて読んだ。家の貧乏、家業の手伝いのほかスズメの巣の観察、ウサギのわななどを方言を交え、素直な言葉でつづる。学校にはどれくらいお金がかかるか、などの統計調査や詩もある。
無着さんのあとがきには、出版に当たって子どもたちと議論を重ねたことが記されており、教育実践記録でもあったことが分かる。「村の赤っ恥をさらすだけだ」という反対意見も多かったが、本を出すのは「本物の教育がしたいという願いが動機だった」と記している。
民主教育の在り方が模索された時代。本書がきっかけとなり児童生徒の文集を通して世界とつながろうという「生活つづり方運動」はブームとなった。無着さんはその後、僧侶、教育評論家となりTBSラジオ「全国こども電話相談室」の回答者として長年出演。分かりやすく楽しい回答が人気だった。
無着さんが96歳で死去。晩年は国家による教育の管理が強まっていると批判を強め、2008年に宮崎市で講演した際も「一つの正解を求め、減点法で子どもを評価している」と問題点を指摘していた。子供目線の提言は今も山びこのようにこだましている。