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大水と大火事

2023年8月8日
 おそらく今の子どもたちに言っても意味は分かるまい。「上は大水(おおみず)、下は大火事、これなーんだ?」。答えは「お風呂」。上の風呂釜にはたくさんの水があって、その下では薪(まき)がごうごうと燃えているから。

 まだ薪で焚(た)く風呂が多く残っていた昭和ならではの「なぞなぞ」である。大水といえば、6月に入ってから各地で線状降水帯が発生し、河川氾濫などをもたらしている。晴れたら晴れたで今度はまさに大火事のごとき暑さに見舞われる始末。極端な最近の天気だ。

 ちょっと前だが、テレビをつけたままで別のことをしていたら「不要不急の外出は…」と聞こえてきた。久しぶりに耳にするフレーズ。画面に目をやると、コロナではなく猛暑への注意を呼び掛けるニュースだった。本県を含む西日本よりも関東以北の方が深刻なようだ。

 そんな暑さの中にあって、きょうは立秋。暦の上ではもう秋である。今は出す人も少ないだろうがこの先、暑中見舞いは残暑見舞いとなる。〈あなどりてをりし残暑につかまりぬ〉とは、高浜虚子の孫で、昨年亡くなった稲畑汀子(ていこ)さんの句である。残暑とは名ばかりで侮れない暑さはまだまだ続く。

 本県においては、取りあえず今は暑さより台風6号だ。あすにかけ九州に接近し「大水」をもたらすおそれがあるという。不要不急の外出を控えるのは台風も同じだ。盆を迎えるころには今の“振り幅”の大きな天候が少しでも落ち着いているようにと願う。

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