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宇佐見りんさんの献血

2023年8月21日
 芥川賞作家の宇佐見りんさん(24)が、随筆で自身の初めての献血について書いている。高校生の夏に、街の中で献血の呼びかけをしている人を見たのがきっかけ。その後、彼女は再び同じ献血会場に行った。

 すると前回の血液検査の結果が出ていて、褒められまくったらしい。「血がきれい」「血液中のヘモグロビンが多い」「しかも希少なAB型」と。「褒められたのは私でなく血」としながらも、誰かの役に立っていると言われた気がして泣きそうになったという。

 このときの宇佐見さんの心情、わが身を重ねたときにちょっとだけ分かる気がする。とはいえ当方は、血液そのものではなく「血管が太くて採血針を入れやすい」「血の出の勢いがいい」など、要は献血に向いていると言われているだけなのだが、それでも悪い気はしない。

 きょう8月21日は「献血の日」。1964(昭和39)年のこの日、「輸血用血液を献血により確保する体制を確立する」ことが閣議決定されたのに由来する。およそ1カ月前の本紙に、コロナ禍が落ち着いてからも本県では献血者数が回復せず、献血量の不足が続いているという記事が載っていた。

 きのう宮崎市の献血ルーム「カリーノ」で話を聞くと、その状況は今も変わっておらず、台風6号の際に鹿児島県の献血ルームが閉まったこともあって九州全体で血液が不足気味という。宇佐見さんがそうだったように、献血は16歳からできる。若い人もぜひ。

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