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改めて考えたい食品ロス

2023年8月22日
 「われ今幸いに、仏祖の加護と衆生(しゅじょう)の恩恵によってこの清き食を受く―」。天台宗の「食事(じきじ)作法」というもので、食事の前に唱える言葉である。「つつしんで食の来由(らいゆ)をたずねて味の濃淡を問わず」と続く。

 「目の前にあるこの食事にかかわった命や人々の恩に感謝し、味や品数にこだわらずありがたくいただきます」という意味。食後には「食事のおかげで力を得た心身をもって自分のなすべきことに励み父母や衆生などへの恩に報います」という意味の言葉がある。

 ずいぶん前に、延岡市の今山大師でこの言葉が書かれた紙をもらい、気に入って時々唱えている。もちろん他の宗派にも食事の際に唱える感謝の言葉はある。昔から受け継がれてきた「食べ物に感謝し大事にする心」。飽食と大量消費の時代にあるからこそ忘れたくない。

 県立図書館に、27日まで食品ロス削減に関するパネルが展示されている。その1枚に「国内の食品ロスは、年間632万トン」とあった。ただし、これは2013年度の推計。県循環社会推進課によるとこの10年で100万トンほど減ったという。SDGsをはじめとする地道な取り組みの成果だろう。

 「食品ロス削減月間」は10月だが、外食が日常生活に戻ってきたこともあり、今改めて考えたい問題である。夏休みの自由研究だろうか、図書館のパネル展に小学生がノートを手にやってきて真剣な表情で見入っていた。その姿になんだかホッとさせられた。

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