ホーム くろしお

暦に追いつかぬ暑さ

2023年8月23日
 立秋から、はや半月。もう少し秋らしくなってもよさそうなものだが、相変わらず暑い日が続く。きょうは二十四節気の「処暑」。厳しい暑さが峠を越し、朝夕は涼しい風が吹くころと言われているのだが…。

 「処分」「処理」「処置」、さらには「処罰」などの熟語から何となく「処」という文字には「なくなる」や「片付ける」というイメージを持っていた。つまり「処暑」は暑さがなくなるころだと。調べると「なくなる」ではないが「収まる」という意味があった。

 別の漢和辞典を引くと「処」の部首の「几」は「肘掛け」を表し「処」は「行った先に肘掛けを得てとどまるの意」とある。立秋を過ぎても、盆を過ぎても一向に収まる気配のない暑さ。近年の処暑は、暑さが「収まる」のではなく「とどまる」と解釈した方がよさそうだ。

 〈今日処暑に暦ばかりが先行す〉(藤浦昭代)。この句も気温が暦に追いついていない実情を詠んでいるのだろう。気象庁によると、9~11月もエルニーニョ現象などの影響で全国的に高温となるらしい。きのうは北海道で熱中症とみられる小学2年の女児が体育の授業後に亡くなった。痛ましい。

 夏休みも終わりに近づき、間もなく学校が始まる。「勉強の秋」も「スポーツの秋」も、涼しいとまではいかずともある程度暑さが和らいでこそだ。この暑さの中で登校を再開する子どもたちが気の毒に思えるが、とにかくくれぐれも熱中症には気を付けて。

このほかの記事

過去の記事(月別)