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そこかしこに「小さい秋」

2023年9月9日
 9月のこの時期は、時候や雑節に関して、知られたものが多い。「二百十日(とおか)」(1日)と「二百二十日(はつか)」(11日)は、ともに台風に見舞われやすい日だ。きのうは、台風13号が関東などに大雨をもたらした。

 また、きのうは二十四節気の「白露(はくろ)」。読んで字のごとく草花に付いた朝露が白く光る日といわれる。〈ひとつづつ山暮れてゆく白露かな〉は俳人・黛(まゆずみ)まどかさんの父で、同じく俳人の黛執(しゅう)さんの句。小学6年の教科書にも載ったらしい。

 そしてきょうは「重陽(ちょうよう)の節句」。五節句の一つで「菊の節句」ともいう。邪気を払うといわれる菊の花を飾るなどして、無病息災や長寿、子孫繁栄などを祈る。今では「桃の節句」や「端午の節句」ほどに知られてはいないが、昔の人はとても大事にした日だったという。

 3日付の本紙に、日南市の広渡川沿いで見頃を迎えたパンパスグラスの写真が載った。これに触発され、きのうの朝、高鍋町の国道10号沿いのそれを見に行った。やや雲が多かったが、時折その雲の間から差す朝日を浴びた白い穂は、風情があった。風が吹いて揺れていれば、なおよかったのだが。

 同じ3日付の紙面には「高千穂ひのかげくりの出荷」の記事も。残暑の中にも目を凝らし、耳を澄ませば、そこかしこに「小さい秋」を見つけることができる今日このごろ。季節の変わり目、猛暑続きだった夏の疲れも出てくるころだ。体調にお気を付けて。

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