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「ぶたねつ」感染防げ

2023年9月13日
 危機感が広がる。佐賀県の養豚場で確認された豚熱(CSF)。九州7県が豚熱ワクチン接種の推奨地域に設定されて、本県でも約80万頭の年内接種を目指している。感染が広がらないように祈るばかりだ。

 テレビなどですっかり「ぶたねつ」という言葉が耳になじんだ人は多いだろう。防疫上の問題とは関係ないが、新聞など活字で接する人には「とんねつ」と読む向きも結構いる。だがこれは責められない。最近までこの感染病は「豚(とん)コレラ」だったから。

 呼称が正式に変更されたのは、割と最近の2019年12月末。前月に江藤拓農林水産大臣(当時)が発表した。そもそもウイルスで感染する豚コレラは人に起こる細菌性のコレラとは全く無関係なのだが、名称から人にも感染するような誤解を与えるため名称を変更した。

 どうも豚の読みは「ぶた」か「とん」か混乱しやすい。「豚かつ」は「とんかつ」が一般的だがたまに「ぶたかつ」を掲げる店もある。豚汁はどうか。やはり「とんじる」が優勢だが、以前は「ぶたじる」が多かった気がする。若い人を中心に「とんじる」の方が品良く聞こえるからでは、と推測する。

 ともかく読みに関係なく、幅を利かせようとしている豚熱だ。全国2位の飼育頭数を誇る本県としては絶対阻止が至上命題だが、専門家によると、もはや本県に侵入していてもおかしくない状況という。みだりに豚舎に近づかないなど一般の人も注意したい。

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