牧水愛に満ちた空間
2023年9月18日
その歌集を初めて手にし帯を見たとき、若山牧水を抜いたことに気付いた。そこにあったのは「第十六歌集」の5文字。1年前の今ごろ刊行された、歌人・伊藤一彦さんの「言霊(ことだま)の風」(角川書店)である。
牧水は「海の声」から「黒松」まで15の歌集を出した。1974年に第1歌集「瞑鳥記(めいちょうき)」を出した伊藤さんは「言霊の風」でそれを抜いた。言うまでもなく伊藤さんの功績は歌人としてのものだけではない。数多くの顕彰活動を通じ牧水の魅力を広く知らしめた。
若山牧水賞、「牧水・短歌甲子園」の創設や研究誌「牧水研究」の創刊に尽力したほか、牧水に関連する多くの事業に携わってきた。そうした伊藤さんの足跡を総覧できる企画展が日向市の若山牧水記念文学館で開かれている。牧水の命日の前日である16日に足を運んだ。
目を引いたのが、交流のある歌人から同展に寄せられた直筆の言葉や伊藤さんを詠んだ歌である。馬場あき子、佐佐木幸綱、福原美江、吉川宏志、大口玲子、そして牧水の孫の榎本篁子(むらこ)さん。国内短歌界の”オールスター祭”の様相を呈しており、伊藤さんの交流の広さを改めて知ることができる。
ドラマのモンゴルロケを終えてすぐに書いたという堺雅人さんの、恩師としての伊藤さんにまつわる”おもいでの記”も。〈透きとほる水をかさねて青となる不思議のごとき牧水愛す〉(第5歌集「森羅(しんら)の光」)。会場はそうした牧水愛にあふれた空間でもある。
牧水は「海の声」から「黒松」まで15の歌集を出した。1974年に第1歌集「瞑鳥記(めいちょうき)」を出した伊藤さんは「言霊の風」でそれを抜いた。言うまでもなく伊藤さんの功績は歌人としてのものだけではない。数多くの顕彰活動を通じ牧水の魅力を広く知らしめた。
若山牧水賞、「牧水・短歌甲子園」の創設や研究誌「牧水研究」の創刊に尽力したほか、牧水に関連する多くの事業に携わってきた。そうした伊藤さんの足跡を総覧できる企画展が日向市の若山牧水記念文学館で開かれている。牧水の命日の前日である16日に足を運んだ。
目を引いたのが、交流のある歌人から同展に寄せられた直筆の言葉や伊藤さんを詠んだ歌である。馬場あき子、佐佐木幸綱、福原美江、吉川宏志、大口玲子、そして牧水の孫の榎本篁子(むらこ)さん。国内短歌界の”オールスター祭”の様相を呈しており、伊藤さんの交流の広さを改めて知ることができる。
ドラマのモンゴルロケを終えてすぐに書いたという堺雅人さんの、恩師としての伊藤さんにまつわる”おもいでの記”も。〈透きとほる水をかさねて青となる不思議のごとき牧水愛す〉(第5歌集「森羅(しんら)の光」)。会場はそうした牧水愛にあふれた空間でもある。