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温暖化とマイカー

2023年9月22日
 取りえは一般的な航空機の2倍というとてつもない速さだけ。その速度を出せる区域は限られている。機内の騒音は大きい。乗れるのはわずか100人。さらに運賃は全席ファーストクラス並みという高さ。

 フランスとイギリスが共同開発した超音速旅客機「コンコルド」。1976年に定期運航を始めたが、前述したようなデメリットの多さから普及はせず27年の短命に終わった。特にネックになったのが燃費。乗客1人当たりの燃費は他の旅客機を大きく上回った。

 かつてそんな「燃料大量消費型」の飛行機を作ったフランスだが、決して環境問題に関心が薄い国ではない。今年5月には、高速鉄道で2時間半の距離にある都市間の航空機利用を禁止している。そのフランスを発祥とするのが、きょう9月22日の「カーフリーデー」だ。

 都市の中心部でマイカーを使わないことで、交通や環境などについて考える日。フランス環境省の呼びかけで98年から同国内で一斉に行われるようになった。現在では世界の約2千の都市においてこの日、都市中心部へのマイカーの通行規制が行われる。日本でもいくつかの都市で実施されている。

 本県は独自に「県内一斉ノーマイカーデー」(6、12月の第1水曜日)と「エコ通勤普及強化月間」(6、12月)を設け、マイカー利用自粛の啓発に取り組んでいる。温暖化をことさら意識させられたこの夏だった。改めて考えたいマイカー利用問題である。

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