半世紀続く厚意の還元
2023年9月25日
食料品から日用品、ガソリンにいたるまで、あらゆるものが値上げ、値上げ。さりとて、それに見合う収入増の望みがあるわけではなく、自由になるお金は目減りしていく一方。青息吐息に満ちた国内である。
そんな値上げラッシュの中でも「12倍の値上げ」と聞けばギョッとするだろうか。確かに12倍なのだが、実はこれ、値上げにあって値上げにあらず。東京・日比谷公園の一角にある老舗レストラン「松本楼」が、毎年9月25日に提供してきた「10円カレー」である。
1971年、沖縄返還デモに伴う放火によって同店は全焼。だが、全国から多くの励ましを受け、2年後の73年9月25日に再オープンにこぎ着けた。その感謝を込め、毎年先着1500人にカレーを10円で提供し、売り上げなどを寄付してきた。今年でちょうど50年になる。
それを創業120年となる今年から「創業年数と同じ金額以上」にするという。つまり今年は「120円以上」。もちろん昨年までの「10円カレー」同様、売り上げはすべてチャリティー団体などに寄付されるという。提供するカレーは千食になるが、これまで以上に多くの寄付ができることになる。
コロナ禍の際には、通常営業での売り上げを寄付してきた同店。食べる側が出すお金は12倍になっても店が受け取るわけではない。しかも材料の値段は上がり続ける一方だ。そんな中にあっても決してやめない「半世紀前に受けた厚意の還元」に頭が下がる。
そんな値上げラッシュの中でも「12倍の値上げ」と聞けばギョッとするだろうか。確かに12倍なのだが、実はこれ、値上げにあって値上げにあらず。東京・日比谷公園の一角にある老舗レストラン「松本楼」が、毎年9月25日に提供してきた「10円カレー」である。
1971年、沖縄返還デモに伴う放火によって同店は全焼。だが、全国から多くの励ましを受け、2年後の73年9月25日に再オープンにこぎ着けた。その感謝を込め、毎年先着1500人にカレーを10円で提供し、売り上げなどを寄付してきた。今年でちょうど50年になる。
それを創業120年となる今年から「創業年数と同じ金額以上」にするという。つまり今年は「120円以上」。もちろん昨年までの「10円カレー」同様、売り上げはすべてチャリティー団体などに寄付されるという。提供するカレーは千食になるが、これまで以上に多くの寄付ができることになる。
コロナ禍の際には、通常営業での売り上げを寄付してきた同店。食べる側が出すお金は12倍になっても店が受け取るわけではない。しかも材料の値段は上がり続ける一方だ。そんな中にあっても決してやめない「半世紀前に受けた厚意の還元」に頭が下がる。