表情豊かな能面
2023年10月5日
般若面といえば、誰もが即座にその表情を思い浮かべられるのではないか。長い2本の角に、険しく寄せた眉間。耳の近くまで裂けた口。白目の部分は金色でその“目力”のすごいこと。すさまじい迫力だ。
しかし、個人的にはこれ以上に印象に残る面を見た。7年前に延岡市の旧内藤記念館で開催された能面展。そこで般若の隣に展示してあった「生成(なまなり)」の面だ。生成とは女性が般若になる途中の顔。短い角と牙を除いては人間の女性の顔なのだが、これが結構怖い。
般若を挟んで生成の隣には、般若の怨念がさらに強まった「蛇(じゃ)」という面があったが、正直この“最終形態”よりも迫力を感じた。般若や蛇に比べて人間の要素が強い生成からは、人としての孤独や煩悩、情念、悲しみといったものが、より強く伝わってくるからなのか。
昨年開館した内藤記念博物館。ここで15日まで開催中の企画展「内藤家旧蔵の能・狂言面~受け継がれてきた天下一~」で再びこれら生成、般若、蛇の面と“再会”し改めてそんなことを考えた。同展では、豊臣秀吉らから「天下一」の称号を与えられた面打ち師6人の作品など66点を展示している。
会場の解説にもあるが能面は無表情などではない。男系、女系、翁系、霊系。どれも見るほどに豊かな表情をしている。同館所蔵のように一流の面打ち師によるものなら、なおさらだ。7日の「のべおか天下一薪能」に行かれる方も、そうでない方もご覧あれ。
しかし、個人的にはこれ以上に印象に残る面を見た。7年前に延岡市の旧内藤記念館で開催された能面展。そこで般若の隣に展示してあった「生成(なまなり)」の面だ。生成とは女性が般若になる途中の顔。短い角と牙を除いては人間の女性の顔なのだが、これが結構怖い。
般若を挟んで生成の隣には、般若の怨念がさらに強まった「蛇(じゃ)」という面があったが、正直この“最終形態”よりも迫力を感じた。般若や蛇に比べて人間の要素が強い生成からは、人としての孤独や煩悩、情念、悲しみといったものが、より強く伝わってくるからなのか。
昨年開館した内藤記念博物館。ここで15日まで開催中の企画展「内藤家旧蔵の能・狂言面~受け継がれてきた天下一~」で再びこれら生成、般若、蛇の面と“再会”し改めてそんなことを考えた。同展では、豊臣秀吉らから「天下一」の称号を与えられた面打ち師6人の作品など66点を展示している。
会場の解説にもあるが能面は無表情などではない。男系、女系、翁系、霊系。どれも見るほどに豊かな表情をしている。同館所蔵のように一流の面打ち師によるものなら、なおさらだ。7日の「のべおか天下一薪能」に行かれる方も、そうでない方もご覧あれ。