１６１０年にガリレオが土星の輪を発見してから４００年余り。今では太陽系八つの惑星のうち土星のほか天王星、海王星、木星に輪があることが分かっている。ただ、土星ほどはっきりしたものではない。

　実はもう一つ輪を持つ惑星がある。それは地球だ。地球の輪を形成しているもの。それは人工衛星である。地球の赤道上空の高度およそ３万６千キロの静止軌道上にある数多くの人工衛星は、１本の完全な輪を形成しているという（アシェット刊「宇宙の神秘」）。

　太陽系で唯一の人工の輪。それゆえ他の惑星の「自然の輪」とは違う危険をはらむ。衝突と、それに伴う破片などの地球への落下だ。２００９年に米国の通信衛星とロシアの軍事衛星が衝突。大量の宇宙ごみが発生した。これも含めて、地球の回りには多くのごみがある。

　そんな中、米連邦通信委員会（ＦＣＣ）は先日、運用を終えた人工衛星を適切に軌道から離脱させなかったとして、米衛星放送企業に１５万ドル（約２２３０万円）の罰金を科した。宇宙ごみを巡って罰則を科すのは初めてのことで、宇宙開発が進む中、今後同様の事例が増える可能性があるという。

　地球の内でも外でも「ごみ問題」に直面する人類である。しかも宇宙ごみは大惨事を招きかねない。Ｇ７各国は宇宙ごみ発生への懸念からミサイルを使った衛星破壊実験を実施しないことを決定。中国やロシアにも同調するように求めているが、果たして…。