この夏の二つのスト
2023年10月9日
アラ還、いわゆる還暦前後の世代は、子ども時代に口ずさんだことがあるのでは。「やめてケレ やめてケレ やめてケーレ ゲバゲバ」―と。俳優の左ト全(ぼくぜん)さんと児童らによる「老人と子供のポルカ」だ。
コミックソングのようだが、実はかなり強い風刺の歌である。1番の「ゲバゲバ」の「ゲバ」は学生運動のゲバ(暴力闘争)、2番の「ジコジコ」は交通事故、そして3番の「ストスト」はストライキのこと。この歌がヒットした1970年当時の世相を映している。
ゲバと交通事故は確かに「やめてケレ」だがストは別だ。こちらはやる方だって人生がかかっていて必死である。今年ほどこの「ストライキ」という言葉を見聞きした夏は、最近ではなかったのではないか。その一つが、百貨店そごう・西武の売却を巡ってのものだった。
61年ぶりとなる大手百貨店のスト。顧客からの批判は覚悟の上だったが「思いがけず多くの声援を受けた」(労組委員長)。「地元百貨店の灯を消してはならない」との訴えが理解されたのか。もう一つ、海外だがこちらは63年ぶりとなる全米映画俳優組合と全米脚本家組合による同時ストである。
人工知能(AI)に仕事を奪われる危機感が背景にあり、こちらも切実だ。厚労省の統計では、ここ半世紀近く右肩下がりのストライキの件数。憲法で保障された権利だが、その「伝家の宝刀」を頻繁に抜かざるを得なくなる世の中こそ”やめてケレ”である。
コミックソングのようだが、実はかなり強い風刺の歌である。1番の「ゲバゲバ」の「ゲバ」は学生運動のゲバ(暴力闘争)、2番の「ジコジコ」は交通事故、そして3番の「ストスト」はストライキのこと。この歌がヒットした1970年当時の世相を映している。
ゲバと交通事故は確かに「やめてケレ」だがストは別だ。こちらはやる方だって人生がかかっていて必死である。今年ほどこの「ストライキ」という言葉を見聞きした夏は、最近ではなかったのではないか。その一つが、百貨店そごう・西武の売却を巡ってのものだった。
61年ぶりとなる大手百貨店のスト。顧客からの批判は覚悟の上だったが「思いがけず多くの声援を受けた」(労組委員長)。「地元百貨店の灯を消してはならない」との訴えが理解されたのか。もう一つ、海外だがこちらは63年ぶりとなる全米映画俳優組合と全米脚本家組合による同時ストである。
人工知能(AI)に仕事を奪われる危機感が背景にあり、こちらも切実だ。厚労省の統計では、ここ半世紀近く右肩下がりのストライキの件数。憲法で保障された権利だが、その「伝家の宝刀」を頻繁に抜かざるを得なくなる世の中こそ”やめてケレ”である。