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なぜ「狩り」なの?

2023年11月2日
 「狩る」というのは面白い言葉である。「猪(しし)狩り」「兎(うさぎ)狩り」などというと、イノシシや野ウサギを狩ることだが「鷹狩り」というとタカを狩るのではなく、タカを使って狩りをすることである。

 「ブドウ狩り」「イチゴ狩り」もそう。ともに収穫することだが「紅葉(もみじ)狩り」というと「野山に出かけ紅葉を楽しむ」の意味になる。同志社女子大の吉海直人特任教授によると、この場合の「狩り」は「~のもとへ」という意味の接尾語「がり」ではないかという。

 さらにこの「紅葉狩り」には、かつて「桜狩り」という仲間、というか、対になる言葉があったらしい。平安時代中期の「うつほ物語」には〈桜狩り濡れてぞ来にし鶯(うぐいす)の都にをるは色のうすさに〉という歌が出てくる。今では「紅葉狩り」の方だけが残った。

 ちなみに紅葉は「こうよう」と「もみじ」の二つの読み方があるが「紅葉狩り」となると「もみじ」である。きのう、諸塚村を経て五ケ瀬町に車を走らせた。両町村を結ぶ国道503号沿いは、紅葉が見頃となっていた。県立五ケ瀬中等教育学校の周辺や五ケ瀬町総合公園のイチョウも見事だった。

 今後さらに色づくだろう。先日、西都原古墳群に行くと、コスモスが満開。その帰りに宮崎市佐土原町を走っていると一面のコスモスの中で季節外れのヒマワリが“共演”しているのが目に付いた。紅葉の赤や黄だけではない。色とりどりの宮崎の晩秋である。

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