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ビブリオバトル

2023年11月3日
 レンタルビデオ店で偶然目にした瀧本美織さん主演のDVDで、この本のことを知った。タイトルが強烈だ。「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと」。

 内容は題名通り。書店員である著者の花田菜々子さんが出会い系サイトで知り合った人と直接会う。30分間の会話の中で知り得た相手の人の情報を基に、お薦めの本を紹介するというものだ。フィクションではなく、著者の実体験に基づいているというから驚く。

 DVDもよかったが、本で読むと「初めて会った人に本を薦める」という経験が著者にもたらした心情の変化がより細やかに読み取れて面白い。この本を改めて思い出したのは、先月14日に県立図書館であった書評合戦「県高校ビブリオバトル大会」の記事を読んだから。

 県内13校の13人が”推し”本の魅力を伝えようと審査員役の聴衆に向けて熱弁を振るった。取材した記者に話を聞くと、登壇者は身ぶり手ぶり、まさに全力でお気に入りの本の魅力をアピール。「広辞苑」を選んだ生徒もいたという。記者の口ぶりから、そのときの高校生たちの熱量がくみ取れた。

 9日まで読書週間。何を読んだらいいか分からないという人は、新聞や雑誌の書評欄など「誰かが薦める本」を手にしてみるのもいい。ちなみに「出会い系―」の中では、約40冊もの本が出てくる。現役の書店員さんがかなりの熱量をもって薦める本である。

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