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「今年の漢字」勝手に夢想

2023年11月5日
 今年の流行語大賞の候補が発表された。「もうそんな時期か」と思っていたら今度は日本漢字能力検定協会から「今年の漢字」の募集を始めたとの案内が届いた。郵送は来月4日、ネットは同6日までという。

 1995年に始まって今年で29回目。振り返れば、昨年は9・11の2001年以来、21年ぶりに「戦」だった。「金」など複数回選ばれた漢字は他にもあるが、連続して同じ字になったことはない。ただ、今年は昨年と同じ字になってもおかしくない情勢である。

 どの字になるかの予想はしないが、代わりに視点を変えて、勝手に漢字の”由来”に基づいて「今年の漢字」を考えてみた。すると「化」の文字が浮かんだ。「化」は「生きていた人が倒れて、死んでいく様子を描写した」文字という(火田博文「本当は怖ろしい漢字」)。

 イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が始まって間もなく1カ月になる。この間、ガザを中心に多くの人が、まさに「倒れ死んで」いった。きのうの本紙には、国連パレスチナ難民救済事業機関の保健局長・清田(せいた)明宏さん(宮崎市出身)の「過去の戦争以上に地獄のような状況」との言葉があった。

 前述した本には「化」のほかに「和」の文字も載っている。「軍営の前で書簡を交わして講和を結ぶ」様子を表しているという。「化」がイスラエル・パレスチナ情勢の「変化」の「化」となり「今年の漢字」に初の「和」が選ばれ…と、せめて夢想だけでも。

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