「（明日は）またピッチャーが変わるんやから。１年ぐらい会えへんわ」。おとといのプロ野球日本シリーズ第６戦。オリックスの山本由伸投手（都城高出）に完投勝利を許した阪神の岡田彰布監督の話だ。

　「終わった試合をあれこれ言っても仕方ない」という意味での発言だろうが、メジャー移籍を目指すと言われており、その動向が注目されている山本投手だ。「次に相まみえるとしても１年後」という趣旨の発言をした岡田監督の胸にはどんな思いがあったのか。

　それにしても見事な投球だった。二回に先制弾を浴び、四回にもピンチの場面はあったが五回以降は調子を取り戻した。日本シリーズでの初勝利を収めるとともに、１４奪三振という同シリーズ新記録も樹立。結果を出せなかった日本シリーズ第１戦の雪辱を見事果たした。

　シーズン中の活躍は言うまでもない。３年連続で投手の主要タイトル４冠（最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、勝率第１位）を獲得。最も活躍した先発投手を表彰する「沢村賞」には、史上２人目となる３年連続で選ばれた。自身２度目となるノーヒットノーランを成し遂げたことも忘れがたい。

　デビューした２０１７年、メジャーへ行く前の大谷翔平選手が「今年対戦した投手で一番よかった」と絶賛した山本投手（中島大輔「山本由伸　常識を変える投球術」。さらに成長した絶対エースは来年、その大谷選手と同じ舞台に立つのか。目が離せない。