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「冷めたピザ」の躍進

2023年11月7日
 首相経験者で「おじさん」といえば若い人にとっては「令和おじさん」菅義偉前首相だろう。その前の「平成おじさん」小渕恵三元首相が在任中に亡くなったのは2000年。記憶があるのは20代後半以上か。

 官房長官時代に「平成」の額を掲げ新元号を発表した小渕さんは、その9年後に首相になる。就任当初の評判は決していいものではなく、米ニューヨーク・タイムズ紙からは「冷めたピザ」と言われる始末。だが小渕さんは「レンジに入れれば温まる」と切り返した。

 この「冷めたピザ」に関しては、後に宮崎市と縁ができたオルブライト国務長官(当時)が「私は冷めたピザが好き」と擁護。また、笑顔でピザを手にする小渕さんの写真が米タイム誌アジア版の表紙を飾るといった後日談がある。「人柄の小渕」の異名を持つゆえの逸話か。

 一方、この呼び名にはそんな”広がり”は生まれそうもない。「増税メガネ」。SNS上で岸田文雄首相を揶揄(やゆ)する言葉だ。増税に対する怒りが込められた言葉ではあるようだが、本人の資質や政策以上に「メガネ」という見た目を揶揄しているため「冷めたピザ」に比べ一般ウケはしそうにない。

 小渕内閣の発足時の支持率は32%。岸田内閣の支持率が先月中旬、これと全く同じになった(共同通信社の全国世論調査)と思ったら、先日の調査では28%に。ちなみに、小渕内閣はその後経済政策などが評価され、1年後には57%に上昇した。あやかれるか?

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