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世界トイレの日

2023年11月19日
 高校を卒業して初めて都会に住んだ時、結構大きな悩みが下宿屋のトイレだった。すべて洋式だったからだ。今なら「逆だろ」と突っ込まれそうだが、当時はわが家も含め県内の公共施設はほぼ和式だった。

 足腰への負担が軽減されるので普及した洋式トイレ。特に障害のある人や高齢者には重宝される。いったん慣れるとなかなか元に戻るのはつらい。生活全般の洋式化が進むと同時に、トイレも民家では約9割が洋式だ。子どもたちはほぼ全員が洋式に慣れている。

 学校ではどうだろう。文部科学省が以前、都内の小学校で行ったアンケート調査によると、過半数(51%)の児童が学校でのトイレを我慢。理由として6割が「和式のトイレが嫌」と回答していた。だが洋式に改修した後は我慢していた児童が14%にまで激減したという。

 同省が最近公表した調査結果(9月1日現在)によると、公立学校施設の洋式率は68・3%。2020年調査の前回時より11・3ポイント増加した。残念ながら本県は55・7%と全国平均を大きく下回る。要望は大きいが導入が進まないのは、洋式トイレは改修のコストが高く自治体の負担感が強いためだ。

 朝からトイレの話で恐縮だが、今日は10年前に国連で制定された「世界トイレの日」。トイレの環境は健康、生命や人間の尊厳に関わる国際的な課題と位置づけられている。まずはトイレに行けなくて便秘になってしまう児童が少なくない現実から考えたい。

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