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観る走

2023年12月10日
 今年の「流行語大賞」を見ると、大賞の「アレ」をはじめ上位にはスポーツ関係の言葉が目立つ。候補には特定の世代だけに通じる流行語が多かったが、スポーツ観戦は世代を超えて親しまれているようだ。

 「観(み)る将」のトップテン入りも現代の世相をよく映している。八大タイトルを独占した藤井聡太八冠の活躍などで盛り上がる将棋界。その観戦をインターネット配信などで楽しむファンのことだ。体を使う競技ではないが、やはりスポーツ観戦と同じ感覚だろう。

 野球やサッカー、ラグビー等と同じで自らは競技をしない、またルールに詳しくなくても選手の表情や妙技を見るだけで熱くなる。観戦の垣根を低くしたのは確かだ。大きな大会があった時の一時的なファンが多いが、支持層の拡大につながるから関係者は大事にしたい。

 第37回青島太平洋マラソンは今日午前9時号砲。フルマラソンと3キロに1万人を超えるランナーが宮崎市の目抜き通りや観光地を駆け抜ける。大半は市民ランナーだが、完走を目指し懸命に走る姿が途切れなく続く光景は見ていると感動的だ。家族や職場の同僚を見つけて声援を飛ばすのも楽しい。

 ただ一瞬で過ぎるランナーを膨大な参加者から見つけるのは意外と難しい。しかし今は、お目当ての選手の大体の位置を教えるスマホアプリがあるから重宝する。選手にとって沿道の声援はパワーの源。「観る走」になって一緒に盛り上がってはどうだろう。

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