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それぞれの支援

2023年12月16日
 街角に座って物乞いをするホームレスの男性。ダンボールには「目が見えません。ご慈悲を」の文字。だがお金を置いていく人は皆無だ。そこにやってきた女性が、ダンボールに別の何かを書いて去って行く。

 すると道行く人が次々とお金を置いていく。不思議がる男性。そこには「きょうはすてきな日ですね。でも私は目にすることができません」と書かれてあった―。イギリスの広告会社が制作した「言葉の力」という映像である(阿部広太郎「心をつかむ超言葉術」)。

 同じことでも言い方一つで結果が大きく変わるという話。12月に入り、かつて寄付したことがあるユニセフ(国連児童基金)やWFP(世界食糧計画)などから協力の電話や郵便物が届くようになった。毎年のことだが、今年は世界情勢を反映して切迫感が違うように感じる。

 ウクライナにパレスチナ、シリア、つい最近地震に見舞われたアフガニスタン…。送られてきたリーフレットに写る現地の子どもたちの姿を見ると胸が痛む。支援を必要としている人がいるのは、国内も同じだ。現在「歳末たすけあい運動」が繰り広げられている。さらに支援はお金だけではない。

 日本赤十字社の献血協力のメールには「九州ではO型に加えA型が不足しています」とあった。今年も残り半月。それぞれができる形での支援を―。冒頭の映像の女性のように短くて訴える力のある言葉を持たぬ身ゆえ、冗漫な文章で呼びかけることとする。

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