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教師の読解力

2023年12月18日
 日本の高校生の読解力が上がったようである。経済協力開発機構(OECD)が昨年、81カ国・地域の15歳を対象に実施した、学習到達度調査(PISA)の結果のことだ。その前の調査は2018年だった。

 読解力は平均得点が12点アップ。これによって順位は前回の15位から過去最高の3位に上昇した。新型コロナウイルスが流行していた時期に日本は休校期間が他の国に比べ短かったこと、生徒がパソコン形式の出題に慣れたことなどが原因として挙げられている。

 結果に一喜一憂することもないだろうが、読解力は国語だけではなく他の教科においても必要な力だ。そのレベルを維持するに越したことはない。さてこの先生の読解力は、いかほどだったのか。奈良市の市立小学校で起きたいじめで、被害児童の担任だった教師である。

 児童が「わたしは死ねばいいのに」と書いたノートを提出したのに対して、この教師は花丸を付けて返却したという。この児童の言葉の何をどう読み解いたら、そういうことになるのか。行間を読む必要もない直接的なSOSである。それを理解した上でこのような対応を取っていたのなら論外だ。

 読解力が「読み解く力」ならば、文章に限らない。減税をすれば支持率が上がると思っていたふしのあるこの国のトップは、その数字に込められた国民の思いを読み解けなかったということだろう。次世代に重責を担う大人にも読解力の向上は不可欠である。

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