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昨日の晩はおととい

2023年12月24日
 新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類に移行後初の、という枕ことばはいささか色あせた気がするが、年内はまだ許せるだろう。クリスマスイブも一応、その定義から「初の」ということになる。

 とはいえ、三角帽をかぶったおじさんたちが千鳥足でニシタチを闊歩(かっぽ)した光景は今は昔。今日のイブは日曜日ということもあって家族や恋人同士で静かに、おしゃれに祝われることだろう。それでも仲間と連れだって街に繰り出すお祭り好きも少なくないはずだ。

 ラジオを聞いていたら、日本在住の米国人が「日本人はイブで騒いで、本番の25日はすぐに飾りを片付けて正月モードに入る」と不思議そうに語っていた。ただ日本ではクリスマスに限らず、大みそかに騒いで元日は何もしないように、前夜を重視する傾向があるようだ。

 方言学者・故中沢政雄氏によると、群馬県のある地方では七夕の祝いは7月7日ではなく、6日の夜にやるという。今は一日は朝から始まるが、日が沈んだときから始まるとする昔の習慣が残っているかららしい。日本国語大辞典で「きのうのばん」という方言を調べたらおもしろい記述があった。

 昨夜ではなく一昨夜のこと。全国的にいろいろな言い方があって、本県では「きんののばん」で載っていた。ただ西洋でも一日の始めは夜からで、クリスマスも前夜からという古式の考え方があるそうだ。日本のイブの過ごし方も案外正しいのかもしれない。

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