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大作曲家とえびの高原

2023年12月27日
 峠越えれば高原の 山の青さが目にしみる―。「思い出のスカイライン」という本県ゆかりの歌を初めて聞いたのは小学校の修学旅行。えびの高原を訪れた際に車中で宮崎交通のバスガイドが歌ってくれた。

 作詞青木義久、作曲服部良一さん(いずれも故人)。服部さんは現在、NHKで放送中の朝ドラ「ブギウギ」で草彅剛さん演じる作曲家・羽鳥善一のモデルだ。ヒット曲を連発しヒロインを大歌手に育てる主要な役で、音楽に妥協のない姿勢は服部さんに通じる。

 人気作曲家だった服部さんだが本県との関わりは深い。初めての来県は1962年2月。えびの高原に案内した渡邊綱纜(つなとも)さん(当時宮崎交通勤務)のエッセーによると、その日は大雪で、途中でタクシーを降りたらドアが凍って開かず、ホテルまで1時間歩く羽目になった。

 服部さんは歩きながら青木さんの歌詞を読んでは「ラララ」と口ずさみ、ホテルに着くとすぐ譜面に書き下ろし。「僕の第2の(有名な)青い山脈です」と自信たっぷりだったという。レコードのB面は「アイアイブルーロード」という日南海岸の歌で、村雨まさをのペンネームで作詞も手がけている。

 その後何度も来県。宮崎南、宮崎西高の校歌の作曲者として思い出す人は多いだろう。宮崎南が夏の甲子園で一勝挙げて校歌が流れた時は、喜ぶ電話が渡邊さんにあったそうだ。大作曲家と本県の関わりをしのぶと、いわゆるご当地ソングも心にしみてくる。

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