幅広い世代に支持される４人組人気バンド「ＳＥＫＡＩ　ＮＯ　ＯＷＡＲＩ」に「Ｄｅａｔｈ　Ｄｉｓｃｏ（デス・ディスコ）」という曲がある。２０１３年の曲で同年公開された映画の主題歌にもなった。

　「正義と悪」について聴き手に問いかける、とてもメッセージ性の強い曲だ。その最後の方にこんな歌詞がある。〈せいぎせいぎせいぎせいぎ…の中にあるたくさんのギセイ〉。このフレーズが１０年たった今、当時より強い力を持って訴えかけてきているようだ。

　パレスチナ自治区ガザでのイスラム組織ハマスとの戦闘について、イスラエル軍はおととい「数カ月続く」との見方を示した。ネタニヤフ首相は「正義の戦争を継続する」と宣言。同国の国防相は「私たちは正義の戦争を戦っている」と、米国の国務長官に訴えたという。

　正義、正義―。その正義の戦いで、ガザ側の死者は２万人を超えた（１１日現在）。ハマスの戦闘員の死者７千人の約３倍だ。このうち８千人が子どもで、６千人余が女性。行方不明者６７００人についても７割が女性や子どもという。これほどの民間人の犠牲の上に成り立つ「正義」とは何なのか。

　今月中旬にはイスラエル軍がガザの人質３人を誤って射殺するという「さらなる悲劇」も起きた。もう十分だ。イスラエルも振り上げた拳をいい加減下ろすべきである。日本が新年を迎え「松の内」が開けるころ、この戦闘が始まってちょうど３カ月になる。