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今年の音

2023年12月31日
 この1年は、久しぶりに県内各地でさまざまな音があふれていた気がする。新型コロナウイルス感染症が「5類」へ移行し、3年または4年ぶりに運動会やコンサート、祭りなどのイベントが再開したからだ。

 観光地はコロナ前に迫るにぎわいを取り戻し、繁華街も人の往来が活発化。マスクを外しての会話や歓声が飛び交った。長いトンネルを抜けた安堵(あんど)感が広がり、言葉を交わす喜びを再確認したことだろう。人の声だけではない。自動車や飛行機の音もよみがえった。

 音は思い出を彩る。医療や環境機器の製造・販売を手がけるリオン(本社・東京)は、今年の「心に残った音」アンケート調査の結果を発表した。1位は「第5回WBCで日本代表が世界一に輝いた時の大歓声」。次いで「各地で開催された花火大会やお祭りの音」だった。

 トップ10にはライブ会場やフェスでの歓声、海外旅行客の話し声など、やはり”声出し解禁”による出来事が並んだ。しかし楽しい音だけではない。「紛争地帯における爆発音」「ガザ地区で懸命に救護する人々の声」も上位に入った。耳の奥にこびりついた音が悲惨な映像と共に記憶を鮮明にする。

 本県なら新田原基地に初飛来した最新鋭ステルス戦闘機F35Bのジェット音、県人会世界大会を盛り上げたひょっとこ踊りなどが耳に残る。後は心静かに除夜の鐘に耳を傾け年を越したいが、来年は世界中に安堵の声と笑い声が満ちる年になるよう祈りたい。

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