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仕事始め、のち3連休

2024年1月5日
 一年の季節に応じた祭事や行事、自然現象などについて解説した「歳時記」は一般的に春、夏、秋、冬の4冊からなる。ただ、大きなものになると、これに加えて「新年」が別冊になっている仕様のものも。

 各地で行われる正月の神事や風物などを網羅しているため収録語は多い。「仕事始め」もこの中にある。類語では農業で田畑に出て初めて鍬(くわ)を入れる「鍬始め」、また林業関係においては山に入って儀式的に木を切り山の神に供物を上げる「山始め」などがある。

 〈何もせず坐(すわ)りて仕事始めかな〉とは、昭和から平成半ばにかけての俳人・清水基吉(もとよし)の句。そんなのどかな仕事始めならいいだろうが、今の時代はそうもゆくまい。官公庁や多くの企業では、きのうが仕事始めだった。みなさんの本年の本格始動はいかがだっただろうか。

 正月を東京で過ごした中には、航空機事故に伴う欠航などで他の便や交通機関への変更を余儀なくされ、疲労を引きずったまま仕事始めの日を迎えた方もいよう。羽田空港で搭乗予定の便が欠航となった男性が「大変だが被災地の方々のことを思えばこれくらい…」と語っていたのが印象的だった。

 県内では県が仕事始め式に先立って、地震と事故の犠牲者に黙祷(もくとう)したのをはじめ各首長も訓示の中で被災地などに思いをはせた。悪いニュースが続いて気が晴れない方も多いだろうが、気持ちの切り替えも必要だ。あすからの3連休がその契機になればいい。

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