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震災関連死を防げ

2024年1月14日
 旅先にあって車の中で一夜を過ごした経験がある人は結構いるだろう。いわゆる車中泊。座席シートを倒し、荷台を拡大するなど工夫して、少しでも楽になれる姿勢を確保しようとするが、なかなか難しい。

 なんとか横になれても硬い床で腰が痛くなる。足は伸ばせないし、いつもの枕がないと寝付けない。しかも夏は暑いし、意外なほど冬は寒い。うとうとしたと思うともう朝で光がまぶしい。窓にはびっしょり水滴が付いていて、呼気に含まれる水分の多さを知る。

 能登半島地震で車中泊を強いられている人が多くいる。厳しい冷え込み。しかも一泊ではなく、いつまで続くか分からない。窮屈な車中で同じ姿勢でいると、血流が滞るエコノミークラス症候群が心配される。むろん公民館や体育館での避難も心身へのダメージは大きい。

 避難所では日常生活では思いつかない数々の不便が健康を脅かす。例えばトイレ。汚い、くさい、プライバシーがないなど環境が悪いと、なるべく行かなくてすむようにと水分を控えるために脱水症状になるケースが過去の震災でも起きている。トイレをがまんして尿路感染症にかかることもある。

 一刻も早くホテルなどの「2次避難」を進めたい。せっかく地震、津波から逃れたのに、災害関連死が発生しているのは無念だ。現地の実情を知り想像力を働かすことで、実効性のある支援が可能になるだけでなく、私たちの備えも充実したものになるだろう。

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