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一隅を照らす

2024年1月16日
 全国の主要地方紙とブロック紙の新年号を展示する恒例の「ふるさとの新聞新年号展示会」が今年も宮日会館1階で始まった。19日まで。個人的には、仕事柄まず全ての新聞の1面コラムに目を通している。

 一隅(いちぐう)を照らす―。天台宗の開祖・最澄が説いた「目立たない片隅にいても真心で尽くすことの尊さ」を説いたこの言葉を用い、2024年の地域の展望を書いたのは石川県の地元紙・北國(ほっこく)新聞。「人々が続々と一隅を照らしていけば今年の北陸は期待できる」と。

 そのコラムが読者に届いた数時間後に、よもやあのようなことになろうとは。能登半島地震発生から、きのうで2週間がたった。死者は220人を超え石川県は遺族の同意を得た死者の氏名公表を始めた。いまだ県や市町が設けた避難所には、約2万人が身を寄せている。

 避難所から宿泊施設などに移る2次避難も進むが、地元を離れざるを得ない人たちの苦痛やいかばかりか。もう一つ深刻な問題が断水だ。能登半島の6市町では、ほぼ全域で水が使えないという。一方で、甚大な被害を受けた同県の珠洲(すず)市などでは仮設住宅が着工するなど生活再建に向けた動きも。

 「一隅を照らす」に関連する言葉に「一灯照隅、万灯照国」がある。一隅を照らす小さなともしびも集まれば、国中を照らすという意味である。被災地に向け伝えたい。地元住民だけじゃない、全国からのあまたのともしびが今、その地を照らしている―と。

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