1年間眠っていた男
2024年1月19日
ユーチューブ上で公開されている風刺コントに笑った。タイトルは「2023年を1年間昏睡してた人に説明する」。事故に遭い1年間眠っていた男が、見舞いに来た友人の前で目を覚ますという筋書きだ。
友人との会話の中でマスク着用の緩和やツイッターの名前が変わったことなどを聞かされ驚く男。ロシアとウクライナのつもりで「戦争はどうなった?」と聞くが友人はガザでの紛争のことだと思い話がかみ合わない。浦島太郎状態の男の狼狽(ろうばい)ぶりが面白かった。
見ていてふと大佛(おさらぎ)次郎のエッセー「冬眠」を思い出した。池に張った氷の下でじっとしているコイを見ているうちに「もし人間を何年もの間、冬眠させることができたら」という発想にたどり着き、空想を膨らませる。対象は病人や受刑者、生きるのが嫌になった人など。
「性急な暴力主義の革命家」については「半世紀ばかり前後不覚に眠ってもらって、その間に世の中がどうよく変わったかを見てもらうのも良いだろう」と述べている。書かれたのは50年以上も昔。大佛は「どうよく変わったか」とつづっているが、さて現代は50年前より良くなっているだろうか。
くだんのコントも、目覚めた男が聞かされた「23年の出来事」の多くは企業の不祥事など悪いニュースだった。今年1年間を眠っていた人に来年「去年はどんな年だった?」と問われたとき「出だしは散々だったが、その後は―」と言える1年になってほしい。
友人との会話の中でマスク着用の緩和やツイッターの名前が変わったことなどを聞かされ驚く男。ロシアとウクライナのつもりで「戦争はどうなった?」と聞くが友人はガザでの紛争のことだと思い話がかみ合わない。浦島太郎状態の男の狼狽(ろうばい)ぶりが面白かった。
見ていてふと大佛(おさらぎ)次郎のエッセー「冬眠」を思い出した。池に張った氷の下でじっとしているコイを見ているうちに「もし人間を何年もの間、冬眠させることができたら」という発想にたどり着き、空想を膨らませる。対象は病人や受刑者、生きるのが嫌になった人など。
「性急な暴力主義の革命家」については「半世紀ばかり前後不覚に眠ってもらって、その間に世の中がどうよく変わったかを見てもらうのも良いだろう」と述べている。書かれたのは50年以上も昔。大佛は「どうよく変わったか」とつづっているが、さて現代は50年前より良くなっているだろうか。
くだんのコントも、目覚めた男が聞かされた「23年の出来事」の多くは企業の不祥事など悪いニュースだった。今年1年間を眠っていた人に来年「去年はどんな年だった?」と問われたとき「出だしは散々だったが、その後は―」と言える1年になってほしい。