ホーム くろしお

月の模様の正体

2024年2月8日
 オーストラリアでは「笑う男の顔」。米国では「女性の横顔」、北欧では「本を読むおばあさん」で、ドイツでは「薪(まき)をかつぐおじいさん」。そしてインドでは「ワニ」。一体、何の話かお分かりだろうか。

 ちなみに日本では「うさぎ」。そう、月の模様である。同じ模様でも、国によって見え方はさまざまのようだ。この模様の正体は「溶岩の塊」。20億年ほど前まで続いていたといわれる月の火山活動によって、黒い色の玄武岩の溶岩が流れ出して固まったものだ。

 ちょっと難しい話になって恐縮だが、月は自転周期と公転周期が等しいため、常に同じ面を地球に向けている。そのため地球からは月の“裏側”を見ることはできない。探査機が撮影した写真で見ると、地球に向いた面に比べて裏側は模様が少なく、つるんとした印象だ。

 人類が初めて降り立ってから50年以上もたつのに、いまだ人はもちろんのこと、探査機の着陸すらも容易ではない月。地球上からは裏側が見えないことといい、まるで月は人間に実像を知られることを拒んでいるかのようだ。それでも人類は、月の“秘密”の解明に向けあくなき挑戦を続けている。

 先日、極めて高い精度で月に着陸した日本の探査機「SLIM(スリム)」。太陽電池のトラブルもあったが、無事復旧した。着陸地点が「日没」となる1日からは「休眠」状態に入っているが、今一度稼働して少しでも多く月の秘密を明らかにしてほしい。

このほかの記事

過去の記事(月別)