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無電柱化

2024年2月11日
 国会の答弁でも時々耳にする。「電柱の地中化」。電線や関連施設を地中に埋めて電柱をなくす施策だ。ただこの表現、電柱を埋めるわけではないので、国交省では「無電柱化」や「電線類の地中化」を使う。

 景観改善のため、特に古い街並みなどで取り入れられている。日南市が飫肥の「大手通り」などで3年かけた無電柱化の事業が完了したのは2015年。街並みがすっきりし歴史的な景観の魅力が増した。防災にも役立つことから国は1980年代から取り組む。

 しかし欧米はもとより、アジアの主要都市と比べても大きく立ち後れている。国交省によると道路と民地合わせて約3600万本の電柱が立ち、減少するどころか毎年約7万本増加しているという。能登半島地震では、各地で電柱が倒れて車や人の往来ができなくなった。

 歩道に垂れた高圧の電線はかなり危険だ。本県でも暴風雨に襲われ、倒れた樹木が電線に引っかり電柱を倒す光景を見る。せめて市街地だけでもと思うのだが、無電柱化を特集した「道路建設」(2021年7月号)によると、事業が進まない要因に関係機関の複雑さ、高い経費の問題を挙げている。

 一方で推進する法律が整備。多様な低コスト手法も考案され、高松市などの先進事例が紹介されている。無電柱化は災害に強い電力や通信を確保するためにも有効だ。被災地に救助隊が到達できない状況を解消するために関係機関が力を合わせるべきだろう。

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