刑務所読書
2024年2月25日
数年前に東京の中央区立郷土資料館で開催した「お酒と遺跡」展で、出土して間もないとっくりを展示していた。江戸時代に囚人を収容した同区の伝馬町牢屋敷跡から見つかったとっくりは100本以上だ。
まさか現代の刑務所である牢屋敷からお酒の遺物が出るとは。伝馬町牢屋敷は約260年間存続し、全国から入牢した囚人は数十万人に上る。安政の大獄では吉田松陰や橋本左内も収容された。出土したとっくりは江戸前期に作られた瀬戸や美濃産の陶器だった。
役人か囚人かどちらが使ったかははっきりしないが、囚人はお金次第で酒も飲めたという。冬季には、湯たんぽ代わりに湯を入れて囚人に配った記録も残っている。善人、悪人に関係なく酒が身近な存在だったのだろう。無慈悲で冷酷な牢屋敷のイメージが少し変わった。
今の刑務所で酒というわけにはいかないが、本の差し入れは自由と思っていた。だから栃木刑務所が受刑者に差し入れ可能な書籍は「月3冊まで」という制限を設けていたのには驚いた。東京高裁は書籍の閲覧は「受刑者が教養を身につける上で有効」などの理由で、この制限を「違法」と判断した。
同刑務所は4年前に「1日1回、3冊まで」から変更。事務の煩雑さや本の重さを考えると制限を設けることは理解できる。ただ、あまりの激減にはとまどう。受刑者の社会復帰後の更生を考えると、本を読む欲求はなるべくかなえてあげたいと思うのだが。
まさか現代の刑務所である牢屋敷からお酒の遺物が出るとは。伝馬町牢屋敷は約260年間存続し、全国から入牢した囚人は数十万人に上る。安政の大獄では吉田松陰や橋本左内も収容された。出土したとっくりは江戸前期に作られた瀬戸や美濃産の陶器だった。
役人か囚人かどちらが使ったかははっきりしないが、囚人はお金次第で酒も飲めたという。冬季には、湯たんぽ代わりに湯を入れて囚人に配った記録も残っている。善人、悪人に関係なく酒が身近な存在だったのだろう。無慈悲で冷酷な牢屋敷のイメージが少し変わった。
今の刑務所で酒というわけにはいかないが、本の差し入れは自由と思っていた。だから栃木刑務所が受刑者に差し入れ可能な書籍は「月3冊まで」という制限を設けていたのには驚いた。東京高裁は書籍の閲覧は「受刑者が教養を身につける上で有効」などの理由で、この制限を「違法」と判断した。
同刑務所は4年前に「1日1回、3冊まで」から変更。事務の煩雑さや本の重さを考えると制限を設けることは理解できる。ただ、あまりの激減にはとまどう。受刑者の社会復帰後の更生を考えると、本を読む欲求はなるべくかなえてあげたいと思うのだが。