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虫もクマもはい出して

2024年3月5日
 最近、朝なかなか起きられずに困っている。「春の夜は短い上に眠り心地がいいため、朝が来たことにも気付かない」という意味の「春眠暁を覚えず」といえばかっこよく聞こえるが、そうではないようだ。

 ただただ頭が重くボーッとしている。腰も痛い。これって単に体のリズムを崩しただけではないのか。ただ、暖冬なりの寒さのピークが過ぎ、日ごと暖かさが増す中での「朝のまどろみ」は、確かに心地良い。きょうは二十四節気の中でもよく知られた「啓(けい)蟄(ちつ)」。

 「啓」は「開く」、「蟄」は「冬ごもりしている虫」のことだ。ただし、ここでいう虫は昆虫だけではない。「蛇」や「蛙(かえる)」にも「虫」がついているように、は虫類や両生類を含む小さな生き物全般を指す(齋藤孝著「味わい、愉(たの)しむ きほんの日本語」実務教育出版)。

 ただし、起き出してくるのは小さな生き物に限らない。昨年多くの被害をもたらし、世を騒がせたクマもそうだ。昨年12月中旬の七十二候「熊蟄穴(くまあなにこもる)」のころに冬眠に入ってから約3カ月。九州はいいが、クマがいる本州以北の人たちにとっては、また気の抜けない時季となる。

 3月の和風月名「弥生」は、草木がいよいよ生い茂る意味の「いやおい」から来ているという説が有力だ。大小さまざまな生き物が土や穴から出てきて草木も芽吹き…。生命力にあふれた春はもうそこに。この季節ならではの体調の変化に気を付け迎えよう。

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