4年前の悪夢
2024年3月6日
「コロナ記念日」といったものはないが、この時期になると4年前の新型コロナウイルスに関わる混乱がよみがえってくる。国内で最初に感染が確認されたのが2020年1月15日。県内では3月4日だった。
身近に迫る未知の病原体。ワクチンもなければ特効薬もない。この先どうなるのだろう。「夏頃には終息するはず」と無理に楽観視しようとしたが、感染者は世界的に拡大。重篤な症状も発生し、「まさか人類史上最大の危機では」と先行きに暗雲が立ちこめた。
世界を覆った当時の不安感、とりわけ医療最前線の極限的な緊張感を、近刊「人間対コロナ」(神戸新聞社論説委員室)が克明に記録している。「断らない救急医療」を理念に掲げ「救急日本一」という評価が高い神戸市立医療センター中央病院の苦悩と挑戦の3年間だ。
直面する状況すべてが異質で多次元。職員もそれぞれが英雄的だったり、感染したり、傍観者だったり立ち位置が揺れ動く。病院内には多様な部署があり、内部で議論が割れ、部署間で確執が生まれたこともある。身内では総括しにくい格闘の記録を客観的にまとめ上げたのは外部の視点ならではだ。
医療現場でなくても、コロナをめぐって県内でもたくさんの悲劇があった。記念日どころか、あの悪夢の日々を思い出すのも嫌だ、という人は多いだろう。それでも自治体や職場、地域でしっかり検証するのは必要だ。次の感染症に備え、教訓とするために。
身近に迫る未知の病原体。ワクチンもなければ特効薬もない。この先どうなるのだろう。「夏頃には終息するはず」と無理に楽観視しようとしたが、感染者は世界的に拡大。重篤な症状も発生し、「まさか人類史上最大の危機では」と先行きに暗雲が立ちこめた。
世界を覆った当時の不安感、とりわけ医療最前線の極限的な緊張感を、近刊「人間対コロナ」(神戸新聞社論説委員室)が克明に記録している。「断らない救急医療」を理念に掲げ「救急日本一」という評価が高い神戸市立医療センター中央病院の苦悩と挑戦の3年間だ。
直面する状況すべてが異質で多次元。職員もそれぞれが英雄的だったり、感染したり、傍観者だったり立ち位置が揺れ動く。病院内には多様な部署があり、内部で議論が割れ、部署間で確執が生まれたこともある。身内では総括しにくい格闘の記録を客観的にまとめ上げたのは外部の視点ならではだ。
医療現場でなくても、コロナをめぐって県内でもたくさんの悲劇があった。記念日どころか、あの悪夢の日々を思い出すのも嫌だ、という人は多いだろう。それでも自治体や職場、地域でしっかり検証するのは必要だ。次の感染症に備え、教訓とするために。