2025年01月23日16時30分
奈良文化財研究所(奈文研、奈良市)を運営する国立文化財機構が、遺跡で出土した木材や木製品の年代を1年単位で特定する年輪年代測定法の基礎データを不開示としたのは違法として、市民団体「日本古代史ネットワーク」(東京)が決定取り消しを求めた訴訟の判決で、東京地裁(岡田幸人裁判長)は23日、一部の開示を命じた。
奈文研は1980年から研究に取り組み、弥生時代を代表する池上曽根遺跡(大阪府)の建物の柱を、保有するデータを使い従来の想定よりも約100年古い紀元前52年と判定した。670年の焼失後に再建されたという法隆寺(奈良県)の五重塔についても、心柱が伐採された年代を594年とするなど妥当性を巡り大きな論争が起きた。
判決後の記者会見で団体側は「信頼性が検証できない状態が是正されるという大きな意義がある。第三者の追検証が可能になる」と強調した。
団体側は、測定の基準となる「暦年標準パターン」の作成にミスがあり、飛鳥時代以前は実際の年代よりも約100年古く判定されていると主張している。
【写真】 判決後に記者会見する日本古代史ネットワークの丸地三郎会長=23日午後、東京・霞が関の司法記者クラブ