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政府、核禁止条約の参加見送りへ 会議オブザーバー、抑止力依存 

2025年01月25日10時32分
 政府は3月に米ニューヨークで開かれる核兵器禁止条約締約国会議へのオブザーバー参加を見送る方向で調整に入った。ドイツなど他国の参加事例を検証したものの、日本周辺の安全保障環境が厳しさを増す中、米国の「核の傘」に抑止力を依存する現状を踏まえた対応が必要だと判断した。複数の政府関係者が25日明らかにした。

 ノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会(被団協)などが石破茂首相に参加を要請していた。今年は広島、長崎への原爆投下と戦後80年の節目の年で、関係者の期待が高まっていた。唯一の戦争被爆国である日本政府の対応が問われそうだ。

 核兵器の開発や使用、威嚇を禁じた核兵器禁止条約は2021年に発効した。米国やロシア、中国といった核保有国のほか、日本も参加していない。会議へのオブザーバー参加は、自民党と連立政権を組む公明党の斉藤鉄夫代表に加え、広島市の松井一実市長と長崎市の鈴木史朗市長も首相と面会した際に求めていた。

 国会論戦でも取り上げられ、首相は「核兵器国は1カ国も参加していない」と答弁していた。
【写真】 石破茂首相