２６人が犠牲となった大阪・北新地ビル放火殺人事件は１７日、発生から３年となった。遺族や現場クリニックに通っていた患者はビルに向かい手を合わせ「安心して眠っていて」「院長以上の先生はいない」と思いをはせた。放火した男は既に死亡。行き場のない悲しみは今も残る。

　ビル入り口の扉にはチェーンが巻かれ、立ち入り禁止の貼り紙も。黄色やピンクの花束、飲み物を供える人の姿もあった。息子を亡くした７０代女性は「苦しい３年間だった。息子のためにも一生懸命生きたい」と目に涙を浮かべた。

　事件ではクリニックの西沢弘太郎院長＝当時（４９）＝が巻き込まれた。大阪市に住む元患者の５０代男性は「とことん向き合ってくれる人だった。本当に惜しい人を亡くした」と肩を落とした。

　西沢院長の妹伸子さん（４７）も現場を訪れ約１５分間お経を読み上げ、手を合わせた。

　事件は２０２１年１２月１７日午前１０時１５分ごろ発生。ビル４階クリニックが放火され、スタッフと患者計２６人が死亡した。