2024年12月30日15時30分
能登半島地震の被災地では、発生から1年となる元日を前に、各地の神社が初詣の準備をしている。被災した社殿や境内の復旧が進まず、安全面への配慮から参拝時間を制限するなど例年と違う対応を取るケースも。新たに復興祈願の絵馬を用意した神社もある。
石川県珠洲市役所近くの春日神社は、2022年6月に珠洲市で震度6弱を観測した地震で鳥居が倒壊。約1年かけて再建したが、今年元日の地震で再び倒れた。本殿や社務所も損壊し、境内の石畳にはひびが残る。
宮司葛原秀史さん(57)は「地域あっての神社。住民の生活再建がままならない状況では神社の再建の話も進められない」と明かす。例年の初詣では夜間も参拝客を受け入れてきたが、この正月は安全面を考慮し、午前8時~午後5時に制限する。
珠洲市三崎町の須須神社は、3基の鳥居のうち1基が23年5月の地震で倒壊。今年元日は津波に襲われ、さらに1基が流された。灯籠は倒れたまま残る。
禰宜の猿女豊信さん(56)は「初詣は復興に向け気持ちを整理する機会にもなる。参拝して少しでも元気になってくれれば」と話した。
【写真】 鳥居や灯籠が倒れたままになっている石川県珠洲市の春日神社。元日で能登半島地震の発生から1年となる=30日午前