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オウム事件風化防止、戦友に託す 捜索同行のカナリア剥製、初公開 

2025年01月25日16時35分
 1995年のオウム真理教施設への家宅捜索で、捜査員の先導役を務めたカナリアの「かなちゃん」が剥製となり、昨年10月に初めて公開された。共に教団施設に立ち入った警視庁の元刑事が、捜索終了後も自宅で世話を続け、大切に保管してきた。3月で発生30年の地下鉄サリン事件をはじめ、教団による凶行の数々が忘れ去られることのないよう「戦友」の公開を決意した。

 当時警視庁捜査1課所属の坂元和男さん(78)は、地下鉄事件から2日後の95年3月22日に始まった一斉捜索で、山梨県・旧上九一色村のサリン製造施設「第7サティアン」を主に担当。毒ガス検知を任されたかなちゃんとは同年4月から行動を共にし、3カ月にわたり建物を行き来し続けた。99年に天に昇ったが、業者に剥製化を依頼し、保管してきた。

 昨年10月、法務省のイベントで、オウム真理教の今昔を伝える公安調査庁の展示の一部として初めて一般公開した。「どれほど時が流れても忘れてはいけない。この子が役に立てるのなら…」。将来的には公的な施設への寄贈も視野に入れている。
【写真】 カナリア「かなちゃん」の剥製を手にする、警視庁捜査1課に所属していた坂元和男さん=18日、東京都内