2025年01月25日16時54分
世界で核の脅威が高まる中、核抑止を重んじる政府は核兵器禁止条約締約国会議へのオブザーバー参加見送りで調整に入った。「核廃絶の意志が伝わらない」。被爆80年の今年こそ参加し、核廃絶への道筋をつけてほしいと期待している被爆者らに落胆が広がった。
ノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会(被団協)の代表委員として8日、石破茂首相との面会に出席し、締約国会議へのオブザーバー参加を求めた広島県被団協の箕牧智之理事長(82)は「被爆国として参加する方向に向いてほしかった」と声を落とした。「今後も参加を求める署名活動などを通して訴えていきたい」
もう一つの県被団協の佐久間邦彦理事長(80)は「なぜ日本が条約に署名・批准できないか、オブザーバー参加して説明することはできるはず。政府から核兵器廃絶の意志が全く伝わらない」と強調した。
長崎原爆遺族会の本田魂会長(81)は「米国に気を使いすぎでは。オブザーバー参加が遅くなればなるほど、条約への参加もさらに遠のいていくのではないか」と懸念を示した。
【写真】 記者団の取材に応じる広島県被団協の佐久間邦彦理事長=25日午後、広島市