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被告の取り下げに「なぜ」の声 今も苦しむ、京アニ事件遺族 

2025年01月28日20時06分
 京都アニメーション放火殺人事件で、一審京都地裁で死刑判決を言い渡された青葉真司被告(46)が控訴を取り下げたことが明らかになった28日、遺族からは、今も続く苦しみや被告への怒り、なぜ取り下げたのか疑問の声が聞かれた。

 犠牲になった大野萌さん=当時(21)=の祖父(74)は、控訴からの1年間「先が見えず、いつまで続くか心配だった。すっきりとはいかないが、ある程度気持ちはほっとする」と心境を語った。

 公判最終盤には遺族の質問に、「申し訳ないと思います」と述べていた青葉被告。萌さんの祖父は「あんなのは謝罪じゃない」と切り捨てていた。祖母は、萌さんの遺影に朝晩手を合わせるたびに「(青葉被告は)なんで生きているんだ」と思い出して苦しんでおり、怒りは消えていない。

 息子を亡くした別の高齢遺族は「(青葉被告に)どんな心境の変化があったのか。彼なりの謝罪の気持ちなのか」と疑問を口にした。「亡くなってしまった人の命は償えず、むなしいだけ。私たちと同じような遺族を二度と生まないように願うだけだ」と淡々と話した。