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検察の違法認定、賠償命令 再審無罪の松橋事件 

2025年03月14日14時36分
 熊本県松橋町(現宇城市)で1985年、男性=当時(59)=が刺殺された「松橋事件」で、殺人の再審無罪が確定した故宮田浩喜さんの遺族が、国と県に計約8400万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、熊本地裁は14日、検察が刑事裁判で注意義務を怠ったとして国に約2300万円の支払いを命じた。県警の取り調べの違法性は認めず県への請求は退けた。

 宮田さんは捜査段階の取り調べに「シャツ片を凶器の小刀の柄に巻き、犯行後に燃やした」と自白。起訴後の捜索でシャツ片が見つかったが、検察側は公判に提出しなかった。

 「証拠隠し」で違法だとの原告側主張に品川英基裁判長は判決理由で、シャツ片があることを前提とした審理がなされるべきだったのに、検察官は存在を明らかにする義務を怠ったと判断した。

 シャツ片は97年、再審請求の準備をしていた弁護団の求めに応じ、熊本地検が開示した証拠の中から見つかった。
【写真】 「松橋事件」国賠訴訟の判決を受け、熊本地裁前で「一部勝訴」と書かれた紙を掲げる原告側の弁護士=14日午後