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検察官役「壁に立ち向かった」 強制起訴、原発事故の指定弁護士 

2025年03月15日18時18分
 東京電力福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された旧経営陣の裁判終結を受けて、検察官役の指定弁護士を務め、リーダー的な役割だった石田省三郎弁護士(78)が15日までに共同通信の単独インタビューに応じた。「非常に困難な壁に立ち向かう意識だった」と選任されてからの9年半を振り返り、「われわれの立証のどこがいけなかったのか分からなかった」と、無罪とした最高裁決定への不満も口にした。

 旧経営陣を起訴すべきだとの検察審査会の議決を受けて、2015年8月に選任された。検察から引き継いだ証拠はファイルにして191冊、段ボール箱にして138個。信用性が争点となった国の地震予測「長期評価」について、旧経営陣側がこれを基に対策を進めようとしていたことを示す文書が「いろいろ残っていた」という。

 16年2月に旧経営陣を強制起訴したが、一、二審で長期評価の信用性は認められず、最高裁の判断部分もわずか。「考え方の違いだけの問題に収斂され、極めて不本意だった」とした。
【写真】 共同通信の単独インタビューに応じる石田省三郎弁護士