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自治体基金、債券に多額含み損 金利上昇で時価下落 

2025年01月28日17時23分
 金利上昇に伴い、基金で運用する国債や社債の時価が下落し、多額の含み損を抱えるようになった地方自治体が複数出ていることが28日、分かった。長くて数十年先の満期まで待てば投じた額は回収できるが、機動的に使える資金はその間減る。災害などの緊急時、迅速に必要経費を捻出できなくなる恐れもある。

 金利が上がると、既に出回っている債券は魅力が薄れて、価格が下がる。低金利下で長期の債券を多く買った自治体ほど金利上昇で含み損を抱える構図となっている。

 2019~20年に約74億円を投じ、国債と社債を購入した福岡県福津市は昨年9月末時点で、約23億円の含み損が判明した。日銀のマイナス金利政策により銀行に預けても利子収入が見込めず、「自主財源確保のため、債券運用の割合を増やした」(原崎智仁市長)という。現金確保のため売却、一部は損失が確定している。

 徳島県阿南市は、24年度末の見込み基金残高約150億円のうち債券が6割を占める。緊急時に使える現金が不足しかねないとして、市は経緯を調べるために第三者委員会を設置した。